限られた社会的予算の下での医療プログラムの選択


大学の疫学の講義で大変印象深いと問いかけが行われたので紹介したいと思います。

「特定の疾患の患者200人の治療に1億円が用意されている。複数の医療プログラム(A, B, B')について、それぞれ期待される成果(HY: Healthy Life Year)と費用が表に示されている。皆さんなら、どの医療プログラムを選択しますか。」


表: 医療プログラムと成果及び費用



表:計算結果

これは、いわゆる費用対効果に関する問題提起です。プログラムBは患者1人あたりの費用が1000万円と高額であり、そのため患者集団全体への効果や受信可能患者割合は3つのうちで最低になっています。一番安価なプログラムAは100%の患者が受診できますが、患者集団全体を見た場合の効果はB'に劣っています。このような例は臨床現場でたくさん存在すると思います。次々に新薬が登場し、患者さんの利益につながる一方で財政面で深刻な問題を生じているのも事実です。医療政策とはこのような問題を扱うという点において、ひと味違ったやりがいがあるのではないかと想像します。