シアノバクテリアが担った役割

シアノバクテリア(ドメ イン : 真正細菌 Bacteria 門 : シアノバクテリア門 Cyanobacteria)は藍藻類と呼ばれもしますが、れっきとした真性最近です。

シアノバクテリアは、今からおよそ27億年前に光合成の能力を獲得してから10億年前まで
にかけて、浅い海で大量に発生しました。そして、大量の酸素を発生させました。

原始の細菌(古細菌)は、他の細菌とは異なり、メタン生成というエネルギー様式を持ちます。この影響で、原始の地球の大気には、現在の500倍以上のメタンが存在していました。
シアノバクテリアが光合成をするようになり、大気中の酸素濃度が上昇すると、酸素がメタンと化学反応を起こして、大気中のメタン濃度は徐々に低下していきました。その結果、メタンの温室効果(二酸化炭素の20倍)は低下して、とうとう22-23億年前には高緯度域だけでなく赤道域まで氷河が進出し、大陸も海洋もすてて氷に覆われ、「全球凍結」と呼ばれる状態になりました。

シアノバクテリアは植物のミトコンドリアの祖先としても有名です。原始的な植物細胞の細胞質内にシアノバクテリアが入り込み、共生状態を維持した結果、現在の植物細胞になったと考えられています。

先カンブリア紀のシアノバクテリアの痕跡として、ソトロマトライトとよばれる化石が残っています。ストロマトライトは、シアノバクテリアの表面の粘質層に、水中をただよう砂や泥の粒が付着してかたまり、縞模様を形成したまま化石となったものです。大きな岩のように見えます。

【参考文献】

豊橋市自然史博物館 『豊橋市自然史博物館 総合案内』
梅田真樹『そこが知りたい 動物のなぞ』久美株式会社 2011年 7 - 9pp